太極拳やカンフー映画は有名だけど、中国武術は本当のところ、どんなものなのかはほとんど知られていないのでは?
ここではよく耳にする太極拳や中国武術への素朴な疑問をまとめてみました。
意外に思われる方は多いと思いますが、実は太極拳は武術のひとつです。広大な中国には200から300種類の武術が存在していると言われており、力強い重量感溢れるもの、速さ、身軽さを武器とするもの、やわらかく巧妙な技を使うもの・・・とその特徴もさまざま。それらの武術は日本の武道と同じく、社会状況の変化とともに格闘術としてよりも健身や心身の修養を目的として鍛錬をする人が増えてきたのですが、中でも太極拳は中国人民のための「医療体操」として中華人民共和国政府により奨励され、健身用にアレンジされたものが広められたため、全世界的に健康体操としてのイメージが定着してしまったわけですね。日本では太極拳の愛好者が多いことから太極拳を含む中国武術の総称として「武術太極拳」という名称が使われています。
Q2 練習のときは何を着ればいいの?
空手や他の日本の武道と違い、中国武術共通の道着というものはありません。会によっては独自のユニフォームを作っているところもありますが、やわらぎ会では動きやすい服装を各自自由に用意して頂いています。また裸足ではなく靴をはいて練習するのが一般的です。但し表演試合の時には表演服と呼ばれる試合用の衣服を着用します。
表演試合と散打試合があります。表演試合では套路(型)の表演(演武)を5名の審判員と1名の審判長がみて動作の正確さ等をもとに点数をつけ、順位を決めます。日本で最も規模の大きい試合は毎年7月中旬に3日間かけて開催される全日本武術太極拳選手権大会です。ちなみに点数をつけずお互いの表演を見せ合うだけの「観摩交流大会」というものもあります。散打試合の方は様々な団体で小規模なものが行われており、ルールなどは統一されていないようです。
運動経験が無い方の場合、跳躍など激しい動作の多い長拳や査拳は遅くても20代、更に全国大会で長拳、南拳部門で入賞できるレベルの選手になりたい!と思ったら10代前半までにははじめないと難しいかもしれません。でも楽しむためであれば何歳からはじめてもOKです。体力は個人差がありますし、練習しているうちについてくるもの。「やりたい」と思った時がはじめどきです。ちなみにアジアオリンピックで日本人として初めて太極拳で金メダルをとった増田勝選手が太極拳の練習を始めたのは30歳過ぎてからだそうですよ!
混同される方が多いのですが、両者はまったく違うものです。「少林拳」は武術の聖地として有名な河南省嵩山にある少林寺起源の武術(太祖拳、六合拳、羅漢拳等)を指します。但し、少林寺起源でなくても似たような技術的特徴を持つ武術も「少林拳」または「少林派」と呼ばれることがあります。また福建省や広東省にあったとされる少林寺の分寺起源といわれる武術が「南派少林拳」と呼ばれていましたが、どちらの省にも分寺が存在したという確証はなく、伝説の域を出ていません。そのためそれらは最近は「南拳」と呼ばれることが多いようです。
これに対して「少林寺拳法」は、1947年、日本人の宗道臣氏が中国で学んだ武術をもとに、自らの理論によって編み出した独自の拳法で、技術的特徴も共通するところはあまり無いようです。
「健康のために太極拳を習いはじめたら、ひどい腰痛がするようになってしまったわ。太極拳が体に良いなんて嘘なのね」。以前、違う教室で太極拳を習っているという方にこう言われたことがあります。太極拳でもその他の武術でも、正しくない動作を続けていると、無駄に疲れるばかりか膝や腰などを痛めてしまい、かえって有害なのです(もちろん、それで武術的にも強くなるなんてもってのほか!)。誤った指導のためにこのような誤解が広がるのは太極拳愛好者の一人としてとても悲しく思います。健康のためにはじめた運動で身体を壊すなんてばかばかしいことこの上ないですよね。どんな目的で習うにしても正しい動作を身につけてください。
「制定拳(もしくは規定拳)」とは、中国国家体育委員会が一般への普及と、表演競技における審判基準の公平化を目的として制定したものの総称で、それぞれの套路は「規定套路」といい長拳規定套路、楊式規定套路、棍術規定套路などのように呼ばれます。有名な「24式太極拳」「32式太極剣」なども制定拳です。尚、表演試合では規定以外の套路は「自選套路」といいます。規定套路は以前は太極拳と長拳にしかありませんでしたが、最近、形意拳、蟷螂拳、八卦掌、八極拳、劈挂拳、木蘭拳でも編纂されました。これに対し、民間に伝統的に伝わっているものを「伝統拳」といいます。
なりません。
強いのは「人間」であって「武術」ではありません。その手の雑誌には「××拳最強!」「無敵!○○流伝説」トカトカ多感な男の子達の夢を誘うファンタジックな記事が溢れていますが、またそういったファンタジーに突き動かされて鍛錬に励むことは結構だと思いますが、問題なのはどの武術を習っているかではなく日々どのように鍛錬しているかです。人による武術の種類の向き、不向きはありますが。
日本武術太極拳連盟が行う太極拳の段級審査があります。またその他の資格として指導員資格、審判資格(太極拳、長拳)などがあります。